1. |
全部〇をした
02:45
|
|||
|
あー、カチューシャが目に、目に刺さる
ぬくもりは、血液の循環、全部〇をした
一階下の家族は恋したの
背丈なら僕とおんなじくらい
ねばっこい夏に向く景色は
半分に割れたりんごの蜜月だ
水曜の朝は生ごみを捨てた
45Lを四回に分け捨てた
鼻先に雨の気配、30度の晴れ間に
離れないようにくっつけた、少しも寂しくないように
お化けがでるかも
少し怖くなった
一度だけ手を合わせて
洗濯物のことを思い出してる
わかってる全部、全部〇をしたの
はっきりと見えた余白
白よりも白く、雲よりは白くない
ワッて聞こえたの、ずっとワッて
とても痛くて、苦しくて
熱いのと冷たいのが一緒に来た
|
||||
2. |
はんぶん猫
01:33
|
|||
|
観覧車に渦が巻いて
光らなくて、あっ光った
いつでも夜は側に来て
ロクでもないことを耳打ちして
僕はそれを無視できなくて
恥ずかしい気持ちになる
会いに来たよって、白々しくて
抱き寄せた手を切り落とした
僕はそれを無視できなくて
恥ずかしい気持ちになった
しゅるるんシュレディンガーの猫は
まだ猫じゃない
ちゅーるに目がくらんでも
まだ猫じゃない
|
||||
3. |
幽覧船
02:04
|
|||
|
告別式の帰り道 長靴がふざけて舞う
もう会えないよという声は何処か遠く
お気に入りの傘は黄色
似たような鳥があなたと行くよ
きっと寂しくないでしょう
ふざけて作った不出来な歌が
僕はどうすればと泣いている
歌ってくれる人は何処、と泣いている
早く抱きしめてあげなくちゃ
下がり気味の眉が辿る軌跡
あなたという輪郭が好きだった
これからはきっと、少し嫌いになるよ
花は白く、世は清か
明日も夢見ず幽覧船 何処まで行こうか
空は遠く、煙に巻く
明日も夢見ず幽覧船 何処まで行こうか
何処まで行けるか
|
||||
4. |
あなたの止まり木でありたかった
01:10
|
|||
|
嫌なことは全部忘れた
塞いだら溢れだした
切っても消えない流線形
煤けた背中には怨念のような
人間が生きることを拒むような
傷が見えた
あなたの止まり木でありたかった
あなたの止まり木でありたかった
塞いだ目から涙が零れ落ちた
あなたの一番になりたかった
|
||||
5. |
花火みたいなものだろう
01:57
|
|||
|
あー、暗いな
出口は、まだ
椅子は多分いらないから
つつじ燃ゆる世界
冷静に媚びて、あーいつまで夢に見る
ホットスナックは、あー腐って蛆がわく
窓からのぞく、あーいつもの灯が消える
ここが分かれ目、あー私の火も消える
花火みたいなものだろう
花火みたいなものだろう
|
||||
6. |
路上生活
02:02
|
|||
|
叫ぶ、ほんの一息
本当に酷い
気深さのない
井戸を掘り、笹舟を浮かべ
手にはアオ、藍染めのアト
袖に除く、白い腕
近所の子供たちが
傘を持って地図を描く
終わりのない旅路を
飽きたら帰路につく
夕餉の匂い
汁の垂れる青物
気づけば、ほんのりと空が暗い
うちへ帰ろう
星空の示す高架下
BGMのない暮らし
私が歌えばそれでよい
また雨が降ってきた
昼時の風景もこれで変わってしまったな
ぐちゃぐちゃの地面を見て
あの子たちは泣いてしまうのではないか
私は悲しいよ
私にとっては限られた喜びの景色のひとつなのだ
何もない何者でもない私にとっては
捨てられたラムネ瓶のビー玉さえもが、愛おしいのだ
|
||||
7. |
死にたくならないように
01:19
|
|||
|
じゃあ、私帰るね、指切った、あなたと離れたとしても死にたくならないように
脱、光の三原色
人間を辞めました
朝顔の種、破損した屋根、表札、殺殺殺
今にも零れそうな、まだいけるか
止んだって、雨ならもう止んだって
不安だって、心ならもう砕いたって
正しさってなんだ、間違えないことか
じゃあ、私帰るね、指切った、あなたと離れたとしても死にたくならないように
精一杯強がって見せた、あなたと離れたとしても死にたくならないように
|
||||
8. |
今だったら殺せるのにな
02:39
|
|||
|
君は天才だ、将来が楽しみだなんて
おだてられ、いつしか引きこもる
部屋の中今思えば、そんな記憶もなかったなって
ずっとずっとずっとずっとずっと35点くらい
良く見積もって45点くらい
教室咳き込めば笑う気配
頭にクソでものっかってるのか
20年前に思考停止、今だったら殺せるのにな
あーあ殺せるのにな
どんな服を着たっていいのにな
起き抜けの吐き気が、鏡に映る現実が
腐ってる、腐ってる、もう俺は腐ってる
起き抜けの吐き気が、鏡に映る現実が
腐ってる、腐ってる、もう俺は腐ってる
起き抜けの吐き気が、鏡に映る現実が
腐ってる、腐ってる、もう俺は腐ってる
起き抜けの吐き気が、鏡に映る現実が
腐ってる、腐ってる、もう俺は腐ってる
|
||||
9. |
ナガミヒナゲシ
01:57
|
|||
|
あなたママの子じゃないんだって
かわいそう、私が守ってあげる
人生は今日がはじまり
私とあなた二つで一つ、一つで二つ、約束よ
日向に咲いている、ナガミヒナゲシの花
私とあなたによく似ている
きれいでしょう?きれいでしょう?
淡い赤色が素敵でしょう?
さわってはだめよ
小さな手が握り返した
まだ小さな私の手よりも小さな手が
|
||||
10. |
新しい宗教
01:50
|
|||
|
春、忘れられない熱に苛まれ
もう二度と誰も愛せないと大袈裟に騒いでいた
桜が景色を横切り
綺麗だ綺麗だと騒がれた後は
泥と共に踏みにじられる
夏、世界は冷たいと疑わず
厭世的な癖が染み付いていた
味のしない素麺を一昼夜啜り
高級そうな桐箱にわけもなく苛ついて
小馬鹿にしたように笑っていたのは、ハズレのアイスの棒
秋は、星が定点で輝いて
何もかもが新鮮でなくなり
そして、冬
彗星に乗って彼の人は現れた
心を預けた友も親切な誰かも、みな有象無象
また始まってしまった病気につける薬はないと
きっと医者もさじを投げる
今度こそ最後だからと
敬虔な信者の曇りなき瞳
御仁が望むなら
壺を買い
石に祈り
意味もわからず経を唱えよう
新しい宗教
私の拠り所
|
||||
11. |
なにもなくなった!
01:21
|
|||
|
なにもなくなった、朝のすずしさも
なにもなくなった、夜のしずけさも
「まぁ!はしたない子ね!!」
って、よくぶたれたっけ
てらてら鼻血が光った
きらきら星も飛んだ
いつまでも追いかけてくる
あの影から逃げられない
いつの日か終わるならと
夢見ていたそれも終わりの終わり
なにもなくなった、真っ白な部屋で
なにもなくなった!
|
||||
12. |
私は誰も殺していません
01:41
|
|||
|
如何にもな形相、悪意のある答弁
後ろ手に武器でも隠しているかのような、そんな余裕すらうかがえる
しかし、男は丸腰で、アクリル板を隔てたこちら側は安全と言える
それなのに、この違和感はなんだろうか
私は誰も殺していません
男は、少し興奮気味に言った
そして一度息を整えると、また静かに話し始めた
庭先に金木犀が咲いていましてね
ちょうどかぶさるように、枯れ枝が私の視界を遮ったのですよ
私はそれをチョンっと切って、焚火にしました
焚火の煙が金木犀の匂いと合わさって、まるで腐肉のような
そんな香りに化けましたね
目覚まし時計がけたたましく鳴り響きました
私は機械音痴なもので、止め方が一切わからなかったのですよ
したがって、もう壊してしまおうと、ネジも針も全部とってしまおうと
すべてバラバラにしてしまえば、鳴らなくなると思ったのです
赤い塗装も全部はがしました
それから、私は食事をとりました
私、異食症という病を患っておりまして
食用以外の、例えばプラスチックとか、鉄製品とか、そういったものを食べちゃうんですね
ですから、先ほど焚火にした枯れ枝も
バラバラにした目覚まし時計も食べてしまいました
私は誰も殺していません
|
||||
If you like 故やす子, you may also like: